但馬牛のブランドを維持していくためには、質の高い遺伝子を効率よく残していかなければなりません。
そのために兵庫県の北部農業技術センターに畜産部を設置し、但馬牛の研究・改良に取り組んでいます。
但馬牛の血統を保持する為には、他の種類の牛と交配せずに純系統を維持することが第一です。
しかしもう1点注意しなければいけない点があります。
それは近親交配による近交退化と呼ばれる現象です。
血縁関係の近い個体同士の交配のことを近親交配といいます。
近親交配の場合、それぞれの個体が持っている遺伝子の組み合わせも近いものになります。
遺伝子には優性遺伝子と劣性遺伝子がありますが、通常の配合では優性遺伝子が発現します。
劣性遺伝子の中には障害をもたらすものもあり、遺伝子の組み合わせが似ている近親交配を繰り返すことによって劣性遺伝子同士が遺伝し、障害が発現することがあります。
これによって内臓や骨格に異常が生じることを近交退化といいます。
これを防ぐためには但馬牛の中土井系、熊波系、城崎系という3つの系統をバランスよく交配しながら保持していく必要があります。
この3系統を計画的に交配しながら、但馬牛の数と質を保つ研究が続けられています。